我が子をミュージシャンにしたいならこの絵本「ベンのトランペット」
ぼくの好きなアーティストに星野源と大橋トリオがいる。
優しい歌声と良い人そうな雰囲気、それでいて音楽的な深みもある。
日曜日の朝や読書の時によくかけている。
そんな二人には意外な共通点がある。
それは幼い頃に家でジャズに親しんでいたことである。
大橋トリオの場合は、父親が音楽関係の仕事をしており、高校生の頃に父親のもっていたジャズのレコードをききまくった時期があるという。
一方の星野源は、実家がジャズ喫茶ということもあり、幼い頃からジャズは非常に身近な存在だったそうだ。
星野源がテレビのインタビューで「家ではいつもジャズがかかっていた」と語るのを聞いた嫁は「ジャズを家で流さないと!」と言い出した。
そして、その時に「ベンのトランペット」を読み聞かせすれば、子どもは確実にジャズにはまるだろう。それぐらいクールなジャズが完全密封されているのが「ベンのトランペット」という絵本だ。
ジャズへの憧れが閉じ込められたクールな絵本
谷川俊太郎はけっこうな量の絵本の文を担当しているので、それを追っているうちに「ベンのトランペット」に辿り着いた。アマゾンのレビューは2件だが、いずれも5で満点だったのだ。
いざページを開くと、その白黒のクールな世界に驚く。
まるでブルーノート時代のレコードジャケットを見ているような雰囲気だ。
物語はトランペットを吹きたい黒人の少年ベンが主人公だ。
彼はいつもジャズクラブの演奏を覗いていた。シンガーの姿、ドラマー、そして、トランペッター。彼はトランペットもっていないので、口と仕草で吹く真似をする。
友人にバカにされてもそれを繰り返していたら、ある時、憧れのトランペット奏者に声をかけられ――。
この本はストーリーもさることながら、ジャズを演奏する人々のかっこいい白黒の絵にひたすら惹かれてしまう。
そして文集は絵を邪魔しないようにシンプルに書かれている点も好感をもてる。
かつて存在したクールなジャズの世界を、丁寧に梱包してタイムマシーンで現代に送ってくれたような、そういう世界感は本当に魅力的だ。
ジャズのレコードを収集して部屋に飾っている人に子どもが出来たら、プレゼントしたくなっちゃうような、そういう素敵な一冊だと思う。
この本を読みながらジャズを流したら、なんだか素敵な家族な気がする。おすすめです。